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信号のない交差点で交通事故に遭った場合の過失割合の基本
過失割合を決める重要ポイント
1 信号機のない交差点の交通事故における過失割合を決定する参照資料
2 交差点の道路幅
3 一時停止線、優先道路
4 過失割合でもめた時に有効となる事故状況の証拠
5 交通事故での過失割合の交渉は弁護士に相談
1 交通事故における過失割合を決定する時に参照される資料
過失割合を考える上では、事故を発生させた原因が、それぞれどの程度あったのかという点が過失割合を決める重要なポイントとなります。
例えば、道路交通法に従って信号待ちで停車中、前後左右から急にぶつけられた場合には、何らの義務違反も不注意もありませんので、過失はゼロとなります。
これに対して、交差点などの衝突事故、走行車線変更事故、車線合流事故など乗車運転中に交通事故が起きた場合は、当事者双方に過失が認められてしまいます。
交通事故は、主観的にみても不可抗力で避けられない乗車運転中でも、過失割合が発生してしまう事が残念ながらあるのが現在の法律です。
交通事故過失割合においては、東京地裁民事交通訴訟研究会が編纂した「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]別冊判例タイムズ38号」(以下、「判例タイムズ38号」といいます。)という文献に記載されている基準に基づいて過失割合を判断する資料となります。
2 交差点の道路幅
判例タイムズ38号では、信号の無い交差点内で出会い頭事故が起きた場合については、左方優先の原則(道路交通法36条1項1号)を重視して、左方から来た車の過失割合を40%、右方から来た車の自動車を60%として過失割合を計算することを原則としています。もっとも、道路の幅に大きな差があり、一方の道路が他方の交差道路より明らかに幅員の大きな道路であるような場合、大きな幅員の道路の方がより優先性が高いと判断されます。
この場合、広い幅員の道路を走っていた方の車の過失割合は30%、狭い道路を走っていた方の車の過失割合は70%として判断されるのが基本です。
但し、それぞれの道路の幅にどの程度の差があれば「明らかに広い」と判断されるのか?これは明確な基準があるわけではなく、「客観的にかなり広いと一見して見分けられる」か否かという観点で区別されるようです。
3 一時停止線有無、優先道路
道幅の違い以上に過失割合の判断に影響を与えるのが、一時停止の有無等による優先関係です。
一方の道路に一時停止があったにもかかわらず、一方当事者がその指示を無視して道路に進入し事故が起きた場合、当該当事者の注意義務違反の程度は重くなります。
一般的に一時停止を無視した側には80%程度の過失が認められます。
また、優先道路表示が明確にある場合や、交差点の中央までセンターラインが引かれている道路について「優先道路」と評価される場合には、さらに優先道路側の優先性が高いため、非優先道路側の車の過失割合は90%程度と判断されることが一般的となるそうです。
4 過失割合で争いとなった時に有効となる証拠
信号のない交差点内で発生した事故については、道路幅、一時停止、優先道路の該当の有無等によって過失割合が大きく異なります。もちろん、車両スピード、飲酒、居眠り、スマホ操作などもかかわってきます
交差点での衝突事故では、上記のような様々な事実関係が過失割合に影響を与えます。
納得できない場合、その一つ一つの事実関係について、きちんとした証拠を用意することが必要となります。
典型的な証拠としては、警察に人身事故の届出をした場合に作成される、実況見分調書という刑事記録などがあります。またその他にも、自家用車にも搭載されることが多いドライブレコーダーの画像なども、有効な証拠となることが多くあります。
ドライブレコーダーの画像については、事故から時間が経ってしまうと、データが上書きされてしまうので消去されないように注意して下さい。
もし自車両のドライブレコーダーで確認が取れない場合は、相手車両のドライブレコーダーも事故直後にデータを取りだしてもらうなど、状況に応じては大切になる場合もありますので、その場でドライブレコーダー画像の証拠の保全を図ることも大切です。
同様に、事故現場の近隣の店舗等の監視カメラの画像が証拠となることもありますので、協力してもらうようにしましょう。
また、目撃者の証言等も、伝統的に重視されてきた証拠です。
5 自分であれこれ調べる前に、交通事故での過失割合の交渉は弁護士に相談
交通事故の過失割合は、基本的な決定方法の基準に関する知識の他に、多様な個別ごとの事故状況の事実関係を整理し把握しなければなりません。
過失割合を正すためには、その一つ一つの事実関係について証拠を吟味して、立証可能かを検討し交渉の戦略を立てるという、地道な作業が必要となります。
個人で過失割合を争うことは、決して簡単な手続きではありませんので、交通事故の被害に遭われた際には、個人で交渉をしようとするのではなく、早めの段階で弁護士にご相談する事が、ストレス抱えることなく納得のできる過失割合となる可能性があります。