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膝が痛い!膝に水が溜まっていると診断された!なぜ膝に水がたまる?溜まるとどうなる?
膝の水とは?
そもそも膝の水とは何でしょう?
それは、膝関節の関節内に貯留した液体のことをいいます。
その液体とは、『関節液』と呼ばれ、また、『滑液』とも呼ばれます。
通常は膝関節内に存在する粘り気のある液体で、その役目として、
- 関節の摩擦を減らす
- 関節軟骨の保護
- 関節の滑りや動きをスムーズにする役割
です。
関節液(滑液)とは?
関節液(滑液)は、膝関節内の関節包と呼ばれる膜で産生されます。この膜は関節の内側を覆い、関節液を分泌します。
主に水と蛋白質、グルコサミン、ヒアルロン酸などの成分で構成されています。
ヒアルロン酸は特に関節液の粘性を高め、関節の潤滑を助けてくれます。
膝に水がたまる原因?
1.ケガや外傷(転倒による捻挫・打撲の関節の損傷やオーバーユースによる炎症)
関節内の損傷や炎症は、関節内の滑液(関節液)の産生を増加させます
2.靭帯や半月板の損傷
膝関節靭帯群(特に前十字靭帯や内側側副靭帯)や半月板の損傷があると、関節内に血液や滑液がたまりやすくなります。
3.滑液包炎
膝の周囲にある滑液包は、関節を覆う薄い袋であり、滑液包が炎症を起こすと、関節内の水が増加します。滑液包炎は、関節周囲の組織の外傷や、過度の圧力(ストレス)、炎症性疾患で発生します。
4.関節炎(痛風や関節リウマチなどの疾患等)
変形性膝関節症(膝関節軟骨摩耗による減少変形)・痛風・関節リウマチなどの疾患は、関節に炎症を引き起こすため、関節内の滑液の産生が増加し、水がたまりやすくなります。
5.その他の原因
上記の原因のほかにも、膝に水がたまる原因は様々です。
膝の関節液の量や状態は、関節の健康状態や病気によって変化する為、膝関節の健康状態や病気の診断において重要な指標となります。関節液を採取して検査することで、関節疾患や炎症の程度を評価することができます。
膝に水がたまると起こる症状
1.腫脹や膨隆感
膝の周囲に腫れや膨隆感が生じます。膝を伸ばした時に出現する膝蓋骨のエクボの減少
2.痛みや不快感
膝の関節内の圧力が増加する為、痛み・不快感(違和感)発生
3.運動制限
関節の屈曲伸展の可動域制限
4.安定性低下
関節内の液体の増加で、不安定感やバランスの悪さが発生
5.炎症反応
膝関節周囲に赤み・熱感・痛みが発生
これらの症状は、発生原因や状況によって異なります。
膝のどこに水(滑液)はたまるのかな?
1.膝関節腔
大腿骨と脛骨の間の関節空間組織
2.滑液包
膝の周囲の滑液包と呼ばれる袋で、関節を覆う組織
・膝蓋上滑液包(膝蓋上嚢/膝蓋上包)
・膝蓋前滑液包
・深、浅膝蓋下滑液包
・鵞足滑液包
・内側側副靱帯(MCL)滑液包(MCLの浅層と深層の間)
・腸脛靱帯下滑液包
・半膜様筋腱MCL滑液包
・Baker嚢胞
などがあります
3.膝の組織内
滑液包や関節腔以外にも、膝の軟骨や靭帯、半月板などの組織周囲
膝に水が溜まってしまった時のケア
膝に水がたまる(関節水腫)は、さまざまな原因があり、怪我や損傷、炎症、関節疾患などで、腫れ・痛み・不快感・違和感・運動制限・発熱を引き起こします。
どのような原因でも基本的に自分で出来るセルフケアと対処ケアの基本
1.安静
できる限り安静にすること
2.冷却(アイシング)
炎症・発赤を軽減する※冷やしすぎに注意する事
3.良性肢位
膝(大腿部)の下にクッションなど置いて膝関節を軽度屈曲位を保つ
※但し、半月板逸脱等の場合などのあるので、膝の痛みが軽減する肢位が望ましい
4.診察と治療
膝の痛み・違和感など症状が出たら、早めに診察と治療を開始する
膝に水をたまりにくくする予防対策
1.適切な運動で筋力強化
膝関節の強化や柔軟性の維持、筋力トレーニングやバランスの改善を持続する
2.体重管理
過体重や肥満は膝関節に過度の負担をかけます。適正な体重を維持する
3.適切な姿勢と動作
正しい姿勢(O脚・X脚防止)や反復動作(オーバ-ユース防止)の制限等
4.適切な靴の使用
正しい靴(クッション・踵の角度)を選ぶことで、膝関節にかかる負担を軽減する
5.休息とリラックス:
疲労蓄積時に、十分な休息をとること。
6.関節の保護
関節の安定性が不安定な場合や怪我をした経験がある場合は、膝を保護するための装具やサポーターを使用する
7.※注意
膝の状態や個々の状況に応じて、最適な方法は異なります
膝に不安があったら早めに医療機関を受診しましょう!
膝の強化運動例
膝に水がたまりにくくするための運動は、膝関節の柔軟性や強度を向上させ、関節の安定性を高めるますが、状態や症状に応じて運動の強度には注意が必要となります。
いくつかご紹介致しますが、必ず、専門家の指導を受けてから行ってください
1.膝の伸展運動
椅子に座り、膝を90度に曲げます。その後、膝を伸ばし、足を地面につけます。膝を曲げたり伸ばしたりする動作を10回から15回行います。
2.膝の屈曲伸展
ベッドや床に仰向けになる。片方の膝を軽く曲げ、もう一方の膝を伸ばす。
曲げた膝を胸に引き寄せ、数秒間キープした後、元の位置に戻します。両方の膝10~15回行います
3.スクワット
膝を曲げてしゃがむ動作を行います。上半身の姿勢をキープしながら、ゆっくりとしゃがみ一気に立ち上がります。スクワットを10回から15回行います。
4.内転筋強化運動
椅子に座り内大腿部でタオルをつぶすように挟む。10程度持続1秒脱力×10回を行います。
5.レッグプレス
レッグプレスマシンを使用するか、床に仰向けに寝てバンドや軽い重りを使用し行います。膝を90度に曲げた状態から脚を伸ばし、元の位置に戻します。四頭筋を強化します。
6.レッグエクステンション
レッグエクステンションマシンを使用するか、座ってバンドや足首に重りを使用し行います。膝を伸ばして上に持ち上げ、ゆっくりと元の位置に戻します。これも四頭筋を強化します。
7.レッグカール
レッグカールマシンを使用するか、床に仰向けに寝てバンドや足首に重りを使用し行います。膝を曲げて踵をお尻に近づけ、ゆっくりと元の位置に戻します。この運動はハムストリングス(大腿二頭筋群)を強化します。
8.スクワット
立位で両足を肩幅に開き、膝を曲げてしゃがみます。膝がつま先よりも前に出ないようにし、お尻を後ろに突き出します。最低できるだけ低くし、ゆっくりと元の位置に戻ります。膝周りの複数筋肉群を強化します。
9.ランジ
立位で片足を前に出し、もう一方の足を後ろに伸ばします。両膝を90度に曲げ、腰を下げます。上半身を直立のままで、ゆっくりと元の位置に戻します。膝周り筋肉群バランスを整えます。
運動を定期的にすることで、膝関節周囲の筋肉を強化し、膝の安定性を高めることができます。ただし、運動を始める前に専門家に相談することも重要です。
整形外科での治療は?
薬物療法、理学療法、関節穿刺(水抜き)、手術など
様々な注射治療の主な種類
1.ステロイド注射
炎症・腫れの軽減鎮痛効果
短期的な痛みや炎症の軽減に効果的ですが、長期的な使用は副作用のリスクがあります。
2.ヒアルロン酸注射
関節の機能改善・鎮痛効果
ヒアルロン酸は関節液の一部であり、関節の潤滑やクッションとしての役割があるので、
通常、関節液の減少や関節炎による膝の痛みに対して使用されます。
3.PRP注射
関節の修復や再生促進効果
PRP(血小板濃縮療法)は、自身の血液から抽出された血小板を高濃度で含んだ溶液を関節内に注入する治療法です。
4.幹細胞注射
幹細胞には再生能力がある為、損傷した組織の修復や再生を促進する効果
幹細胞療法は、患者自身の幹細胞を採取し、関節内に注入する治療法です。
これらの注射は、患者の症状や状態に応じて適切な治療法が選択されます。注射を受ける前に、医師との相談が必要です。
まとめ
整形外科で注射や手術をした後でも、必ず膝を支える筋力の強化と、骨盤、股関節、膝関節、足関節まで関節に負荷が掛からない姿勢作りは重要です。
膝の関節水腫が溜まらないようにする為には、その原因に対して正しい施術と筋力強化の運動が最善の予防と対策と言えます。
なかなか改善しない膝の痛みがある方は、ご遠慮なくご来院下さい